~バーチャルな世界から、本物の世界へ!~ (2)

       

 

        ~僕が旅をはじめようと思ったさらなる理由+αの話~ 

 あれは、僕が小学校4年生の冬のことだった。いとこの姉さんが大学を出て、サンフランシスコから車で1時間ほどのサンノゼ(シリコンバレーの中心都市)に留学をした。あの頃はまだ成田空港はなく、国際線も全て羽田空港から出発していた。

 その日は雪で電車が遅れ、僕と母が羽田に着いた時には、すでにいとこは入国審査を終えてしまっていた。長いお分かれとなる時に「さようなら」が直接言えないことの悲しさを、僕はその日初めて知った。

 屋上のデッキに上ると外は雪がシンシンと降っていた。金網の向こうには、いとこの姉さんを乗せたJALの機体がスポットライトに照らされ、尾翼の鶴丸が大空に羽ばたく瞬間を「今か今か」と心待ちにしているかのようであった。

 僕はこんなに間近で飛行機を見たのは初めてであり、飛行機に乗ってアメリカに行く人を初めて見送ったのだった。それは見知らぬ世界を知った驚きと、親しかった人との別れ、さらには一生かかっても手の届かない乗り物を見てしまったという「妙な寂しさ」という、複雑で衝撃的な出来事だったのだ。

 その「妙な寂しさ」とは何であったかといえば、その頃の僕の家は父が職を失い失踪し、母も病気がちであり、時には電気もガスも果ては水道までも止められてしまうような極貧の家であったのだ。そうした中で、当時飛行機というものはお金持ちの乗りものであり、どん底の生活を強いられていた自分の家では「一生涯飛行機なんかには乗れないはずだ」と子供ながらにそう予感したことへの寂しさだったのだと思う……。

 

さて、次回からはいよいよ2010年に戻って、カリフォルニアへの旅のレポートをアップしてゆきます。

 

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